真宗法語集

二四 無量生死の中に人身を得ることは甚だ難し。たとえ人身を得るとも諸根を具うるは亦難し。たとえ諸根を具うとも仏教に遇うことは亦難し。たとえ仏教に遇うとも信心を生じることは亦難し。故に大経にいわく、人趣に生まるる者は爪の上の土の如く、三途に堕…

二三 今より仏果に至るまで、長劫に仏を讃めて慈恩を報ぜん。弥陀弘誓の力を蒙らずば、何れの時何れの劫にか娑婆を出でん。何んが今日宝国に至ることを期せん。実にこれ娑婆本師の力なり。若し本師知識の勧めにあらずば、弥陀の浄土いかんしてか入らん。浄土…

二二 帰去来(いざいなん)、他郷には停まるべからず、佛に従うて本家に帰せよ。本国に還りぬれば、一切の行願自然に成じて悲喜こもごも流る。深く自らはかるに、釈迦佛の開悟によらずば、弥陀の名号いずれの時にか聞かん。佛の慈恩、荷ないても実に報じがたし…

二一 人間悤々として衆務を営む。年命の日夜に去ることを覚えず。灯火の風中にありて滅すること期し難きが如し。忙々たる六道に定趣なし。いまだ解脱して苦海を出づることを得ず。いかんが安然として驚懼せざらん。おのおの聞け。強健有力の時に、自策自励し…

二〇 深心というは、即ち是れ深く信ずるの心なり。また二種なり。一には決定して深く、自身は現に是れ罪悪生死の凡夫、曠劫よりこのかた、常に没し常に流転して出離の縁あることなしと信ず。二には決定して深く、彼の阿弥陀仏の四十八願は、衆生を摂受し、疑…

十九 若し一人、苦を捨て、生死を出ずるを得れば、是れを真に仏恩を報ずと名づく。何を以っての故に、諸仏世に出でて種々の方便をもて衆生を勧化したまうは、直に悪を制し福を修して人天の楽を受けしめんと欲するにはあらざるなり。人天の楽は猶電光の如し。…

十八 帰去来(いざいなん)、魔郷には停まるべからず。曠劫よりこのかた六道に流転してことごとく皆経たり。到るところ余に楽なし、ただ愁歎の声を聞く。この生平を畢えて後、かの涅槃の城(みやこ)に入らん。 (善導大師『観経疏 定善義 水観』) 帰去来:陶淵…

十七 若し起悪造罪を論ぜば、何ぞ暴風駛雨に異ならん。是を以って諸佛の大悲、勧めて浄土に帰せしめたまえり。たとへ一形悪を造れども、ただ能く意を繫けて専精に常に能く念仏すれば、一切の諸障、自然に消除して、定んで往生を得ん。何ぞ思量せずして都(す…

十六 南無至心帰命礼西方阿弥陀佛。 我を哀愍覆護して、法種をして増長せしめ、此の世及び後生、願わくは佛常に攝受したまえ。 (曇鸞大師『讃阿弥陀佛偈』)

十五 南無至心帰命礼西方阿弥陀佛。 設い大千世界に満てらん火をも、また当に直ちに過ぎて佛の名を聞くべし。阿弥陀を聞かば復退かず。是の故に至心に稽首し礼しまつる。 (曇鸞大師『讃阿弥陀佛偈』)

十四 譬えば浄摩尼の珠の、之を濁水に置けば、水即ち清浄なるが如し。若し人無量生死の罪濁にありと雖も、彼の阿弥陀如来の至極無生の清浄の宝珠の名号を聞きて、之を濁心に投ずれば、念々の中に罪滅し 心清くして即ち往生を得。 (曇鸞大師『浄土論註』)

十二 佛の本願力を観ずるに、遇うて空しく過ぐる者なし、 能く速に功徳の大宝海を満足せしむ。(天親菩薩『浄土論』)

十一 世尊、我れ一心に尽十方無碍光如来に帰命したてまつりて、 安楽の国に生まれんと願ず。 (天親菩薩『浄土論』)

十 若し人 善根を植ゆとも、疑えば則ち華開かず、信心清浄なる者は華開いて則ち佛を見たてまつる。 (龍樹菩薩『易行品』)

九 若し人 仏にならんと願いて、心に阿弥陀佛を念ずれば、時に応じてために身を現ぜん。是の故に我れ彼の佛の本願力を帰命す。十方の諸の菩薩も来たりて供養し法を聞く。是の故に我れ稽首したてまつる。 (龍樹菩薩『易行品』)

九 若し人佛に作(なら)んと願いて、心に阿弥陀佛を念ずれば、時に応じてために身を現ぜん。是の故に我れ彼の佛の本願力を帰命す。十方の諸の菩薩も来たりて供養し法(みのり)を聴く。是の故に我れ稽首(けいしゅ)したてまつる。龍樹菩薩『易行品』 十 若し人…

四 宜しく自ら決断し、身を端(ただ)し行いを正し、益々諸善を作(な)し己を修め体(たい)を潔くし、心垢(しんく)を洗除(せんじょ)し、言行忠信に、表裏相応すべし。人能(よ)く自ら度し、轉(うた)た相拯済(じょうさい)し、精明(しょうみょう)に求願(ぐがん)し、…

真宗法語のキーワードで閲覧される方もいるようですので、少しずつでも引用していきます。 三 世間に人民(にんみん)、父子、兄弟、夫婦、家室(けしつ)、中外(ちゅうげ)の親属(しんぞく)、まさに相(あい)敬愛(きょうあい)して相(あい)憎嫉(ぞうしつ)すること…

二 然るに世人薄俗にして共に不急の事を諍う。此の劇悪極苦の中に於て、身の営務を務め、以て自ら救済す。尊となく卑となく、貧となく富となく、少きも長たるも男も女も、共に銭財を憂う。有るも無きも同じく然り。憂き思いまさに等し。屏営愁苦して念を累ね…

以前お客様の片付け物から出てきた、昭和7年9月に出版された「真宗法語集」高濱哲雄編 真宗大谷派宗務所社会課発行の本があります。全83をお聖行から抜粋したもので最低知っておくと真宗の話を聞いてよく理解することができるというものを選んでいます。今日…