二一
 人間悤々として衆務を営む。年命の日夜に去ることを覚えず。灯火の風中にありて滅すること期し難きが如し。忙々たる六道に定趣なし。いまだ解脱して苦海を出づることを得ず。いかんが安然として驚懼せざらん。おのおの聞け。強健有力の時に、自策自励して常住を求めよ。(善導大師『往生礼讃 日没讃』)
 
 日没の無常の偈を説いたもの。
悤々:あくせくするさま。
衆務:日常生活のさまざまなつとめ。
忙々:あわただしいさま。次々と忙しく輪廻するありさまを指している。
定趣:定着するところ。
安然:ぼんやりと過ごすさま。
驚懼:おどろきおそれること。
強健有力の時:健康でいられるとき。
自策自励:自らつとめはげむこと
常住:生滅変化を離れた涅槃のさとり。