2007年5月8日からブログをはじめて、エアーギターに触発されて、小説は書けないが、こんな小説があったら面白いのではということで、2〜3発表してきたが、土屋賢二著「棚から哲学」p.178に★今月のミステリー★白鳥麗奈『法廷のあとさき』というのがあり、短いので引用すると、
★今月のミステリー★白鳥麗奈『法廷のあとさき』
「著者渾身の処女長編ミステリである。斬新なトリックが随所に仕掛けられ、読後は油断しない人間になっている。
 本書の帯には法廷ミステリと銘打たれているが、九百ページのうち、法廷場面は二ページにすぎない。内容的にも、主人公が昼寝の場所を求めて、裁判所の傍聴席で昼寝したときの描写に出てくるだけで、本筋には関係がない。なお著者が中年男性であるのも意外である。
 冒頭で「山下が犯人だった」と書かれているのを信用していると、それが著者の勘違いだった、という手法も新鮮だ。
 すべての登場人物にアリバイがあり、犯人はいそうにない。ただ、カンボジアにいる農夫の描写がところどころに挿入されているので、何かの関係があるに違いないと思って読んでいると、結局最期まで何の関係もないことが判明する。
 犯人も意外である。犯人の名は伏せておくが、実は、犯人の宇宙人の名前は書かれていないから、明かそうにも明かしようがないのである。
 一読すると、収拾がつかなくなって途中でミステリから多元ワールドSPに切り替え、それでも収拾がつかず、宇宙人を犯人に仕立てたような印象をうける。わたしも最初はストーリー展開が不自然に思えた。しかし、再読、再々読するうちに、だんだん自然に思えてきた。生まれたときから、この種のものばかり読んでいたら、自然な筋だと思うだろう。百回くらい読めば、こういう筋が当たり前のように思われるに違いない。そして普通のミステリがつまらなくなるだろう。そうなっては困るからもう読まないが。
 途中、何ももっていないはずの水着の男がいきなりライフル銃を乱射する個所がやや説明不足の感あり、この点が惜しまれる。それを減点して、評価は★★★★(★百個が満点)。 (引用全文終わり)

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 驚きである。この本は2000年2月20日に第1刷が出ている。
 人間の考えることというのは、ほとんど同じようなことが考えられているということらしい。念仏の意義付けにしても、400年も前に言われていたし、その後もいろいろ考えられているのだろう。自分で考えることには限界がある。過去の記録、書物を調べることによって効率よく、先人の智慧を学べて、さらに新しいものを作り上げられるであろう。アイデアも必ず先達の経験を訪ねて、吟味しなければならない。そういえば、特許の申請には過去の登録申請文献を細かく調べ上げる。そこまでしなくてもいいが、やはりある程度の見識レベルを上げておかないと、気のきいたアイデアは出ないであろうと気づかせてもらいました。