今年のお盆の交通事故死者数は減少したという。不況で外に行楽に行く人が減ったからだとか。とすると、何人かの人は本当は死んでいたのに、この不況に救われたことになる。それは、私だったかもしれない(自分の場合例年と変わっていないので巻き添えにならなかったということか)と思っていれば、不況も悪いものではない。そんなこんなで予定の63歳まで生きられるかどうか。
-
 天国と地獄があるとすれば、オリンピックのソフトボールと野球の代表選手であろう。ソフトチームの帰国出迎えが700人、拍手と大歓声だった。一方野球チームは厳戒態勢で不審者をチェック、特別通路を用意して不測の事態に備えているという。
 勝った、負けたでここまで大騒ぎするのはどうかと思うが、これほどになった背景には試合の勝敗以外の勝ち方と負け方にあったと思われる。一生懸命であったかどうかということである。 
 ソフトは、金は50%くらいだろうと期待もそれ程大きくなかったと思う。今までもう少しというところまで行きながら、なかなか手が届かなかった悲願の金メダルを接戦でものにした。その一途さが応援するものの心を捕えて、国民の共感を呼んだ。
 それに対して、野球は金しか狙わない。金以外では意味がない。と退路を断って北京に乗り込んだ。国民もそれが当然だと思っていた。結果は4位。メダルにも届かなかった。新聞によると、優勝できるような調整もできていなかったようで、スケジュール管理にも問題を呈した。それにしても監督、コーチが古きよき時代のような楽しみ方で前に出られては、選手の意欲も盛り上がってこなかったであろう。国民は裏切られたように感じられたのだろう。期待させた監督の罪は大きい。これが落合監督か野村監督だったらどう対応していただろう。自分は落合ジャパンを見たいとは思わないですけど。
 選手もインタビューでは「金を取ります」などと良い子の対応をせざるを得なかった。そこに、楽しむ余裕など生れない。結果、プロ選手なのにパフォーマンスの低下ということで現われた。
 可哀相なのは選手である。まだペナントレースも残っているのだが、失策をした選手はその後遺症を心配して様子を見ながら戦線に復帰させるという。5敗のうち4敗を中日の投手が喫している。その影響はないとは言えないであろう。大リーグはメジャーベンチ25人枠の選手の参加を禁止しているため、マイナーリーガー23人と大学生1人の参加であった。そこにも負けたのである。
 勝負なのでいろいろあるだろうが、必ず勝てるなどとは思わない方が良いし、そのプレッシャーの中でも勝てる人はごくわずかな人だろう。監督は喋りすぎたし、その結果プレッシャーが掛かりすぎた。プロだから勝ちにこだわるというのも良いが、プロだからこそ見せ場が欲しかった。将棋でもそうだが、プロにはプロの負け方があると思う。
 一生懸命やった結果が、銅メダルでも、それが手の届くか届かないかのものならば、水泳のメドレーリレーとか陸上の400mリレーのように金にも優る歓びがある。その光景を見た人も心から喜べて、感動すら覚えるのである。