三河真宗 真宗大谷派三河別院発行 1988年4月10日 非売品
 「念仏のこころ 蓮如本願寺教団」読売新聞社よみうりカラームックシリーズ 1991年4月12日 2200円
 蓮如−あなかしこの世界−」 真宗大谷派岡崎教務所発行 1998年2月1日 2000円
 これらの雑誌は、太藤順誼という人が企画したもので、太藤氏は三河スーパー絵解き座を立ち上げた前座長である。氏の蓮如上人への思い入れはこれらの雑誌の編集姿勢、記事内容をみれば分かるような気がする。「妖怪」をキーワードに蓮如絵伝を読み解くべきだとよく言われるのだが、まだピンと来ない。妖怪とは世に受け入れられない異質なものという意味で、この「異人済度」の話が蓮如絵伝の中核をなすというのである。そこまで噛み砕けば少し分かるが、氏の域までは到底追いつかない。小松和彦氏が好きだそうなので、影響を受けたかも知れない。小松氏は「念仏のこころ」に「異人論からみた蓮如絵伝」という記事を載せている。
 これらの雑誌は10〜20年前に作られているのだが、その執筆陣がすごい。「三河真宗」は最初でもあり、三河のことなので身近な人が多いのだが、それでも司馬遼太郎氏に「蓮如三河」という記事を書いてもらっている。「念仏のこころ」では笠原一男千葉乗隆山折哲雄津本陽 他各氏そうそうたる方たちである。そして、驚いたのは「蓮如−あなかしこの世界−」で、五木寛之氏へのインタビュー取材をはじめ、評論家の樋口恵子さん、山田洋次監督、そして宗門の名だたる方々もそうだが、上田紀行氏と柳澤桂子さんに目を止めたことである。この後、これほど売れっ子になるとは思ってもいなかったかも知れないが、企画立案者たちの先見の明に感服した。残念なのは、これらの方々と今繋がりを持っていないということである。出会いは不可思議であるが、「一期一会」ということはこういうことなのであろう。
 2011年の御遠忌までは、あと3年半。この間にどれだけのことが出来るか、それぞれのお寺の腕の見せ所でもある。