「ギリシア哲学入門」 岩田靖夫
内容:「いかに生きるべきか」という問題は一個人の幸福から「正義」への問いとなり、
共同体=国家像の検討へつながる。ギリシア哲学を通してこの根源的なテーマに迫る。
 
「人はいかに生きるべきか」という命題に、人間の生き方の三つの局面をもって答える。
その三つとは、1.驚く 2.働く 3.交わる であり、
この三つは生きている間いつも三つの局面を重ねながら生きなければならず、
どれか一つが欠落しても不十分であるという。
自分は「働く」という言葉に違和感があったが、その意味は、努力するということで、
存在するとは、努力することである。生きるとは努力することである。
人間は自分の生を自分で支えなければならない、ということである、
と改めて活字にしてもらうと、当たり前のことを言っているのである。
 
先日「『南無阿弥陀仏』は難しく考えないで、感謝だ、『ビバ!(viva)阿弥陀仏
と思えば良い」と聞いて、なるほどとちょっと感動したのだが、この本を読んで
「『念仏には、無義をもって義とす』意味のないのがその意味である。六字の名号は、
阿弥陀様、あなたに帰依します』と言っているだけで、『助けてください』という叫びなのです。」

と言われると、またなるほどと思ったのと、ある種のまた感動を覚えた。
「ビバ!(viva)阿弥陀仏」は蓮如が主にした解釈で、
「助けてください」が本来の素直な意味であろうと新鮮に感じたのである。

その部分は第7章の仏教の霊性の中の絶対他力という小さな章で、
まったくメインではないのだが、哲学の思想の一部に「絶対他力」とか
妙好人」とかが出てくるのは自分が求めている思いに一致する。
 
哲学から宗教までやさしく書かれていて興味深く読めるのが良い。