碑文谷 創(ひもんやはじめ)著『死に方を忘れた日本人』大東出版社2940円

  • 第1章 死と葬送の現況
  • 第2章 浮遊する死
  • 第3章 葬式考察
  • 第4章 祭壇伝説
  • 第5章 グリーフを考える
  • 第6章 見える墓と見えない墓
  • 第7章 民族宗教・習俗としての葬儀
  • 第8章 遺体論
  • 第9章 葬儀マナーの嘘

日本人の死の文化の全貌
 『死はけっして点としてあるのではなく、死別した者との生前の関係を引き継ぎ、そして死後も大きなロスを抱え続ける。人類が人の死に対して用意した文化装置である葬送の現在を、歴史と最新情報を織り混ぜて、「二人称の死」を視座に総合的に分析。現代日本人の死のありようを問う問題作』とオビにあります。
「おわりに」より引用
 『大切なのは「その人の拘り」ではないだろうか。死者に拘るとき、そこに葬送があるのではないだろうか。コミュニティが崩壊し、家族が分散し、死の文化装置の柱であった葬送仏教が退潮し、と日本人の死を巡る環境変化は著しいものがある。だが私は単純なことこそ大切にすべきだと思っている。家族が、友人が、固有のその人の生に拘ること。僧侶などの宗教者も、そして葬祭業者も、その遺された者の拘りにきちんと即することであると思う。葬祭文化を支えてきたのは、死者への拘りだったと思う。』