明日9/1から中日新聞朝刊の新連載小説が始まる。五木寛之氏の「親鸞」である。
 「親鸞という人は、歴史上の人物であると同時に、聖人として尊崇の対象となっている偉大な宗教者だ。しかし、小説というのは、人間の長所や立派さだけを描くわけにはいかない。主人公の弱さや、欠点や、恥かしさもすべて丸ごと凝視する必要がある。しかし、私が書くのは物語である。伝記ではない。
 その意味で、作者は人間としての親鸞像に迫らなければならないと同時に、彼がどういう表情をしていたか、どんな声で語ったか、なにを好み、なにを嫌ったか、そのような日常のつまらないことにもこだわらなければならない。」(五木寛之
 難しい試みであるが、何とか頑張って欲しい。750回御遠忌を前に、親鸞聖人を考える良い契機になることを切に望んでいる。それとは反対に、この小説によって偏った親鸞像が確立される不安がないわけでもない。しかし、賛否の議論のでるような作品を書いてもらいたい。お寺の参詣のように、ひっそりと特定の人が読むような作品にならないように願っている。