不都合な真実 ECO入門編 アル・ゴア著

 本屋に立ち寄った。必ず欲しい本が出てくるので、あまり本屋に行かないようにしているのだが、情報収集のためには本屋が一番いい。最近感じることは、スピリチュアル関係の本が多いこと、そして仏教書、それに自己啓発関係、小説でいうと感動して泣ける本、この辺が巾を利かせている。しかし、一時期に比べるとあらゆるジャンルの本が無限と言っていいほど並んでいる。情報の山で遭難してしまってもおかしくない状況である。諦めに近い感覚でフラフラと眺めていたら、この「不都合な真実」に目が止まった。ニュースで映画のことは知っていた。
 自分はエコ活動は嫌いである。何故だか好きになれない。そう好き嫌いで、嫌いなのである。以前大学の時に平和の問題や、授業料値上げの問題、防衛費の1兆円枠、同GNP1%枠死守の問題等々、ことごとく破られて行く。庶民レベルで社会情勢を変える活動などというものは無理だということを経験上知っているからである。もし、目的を本当に達成したいのならば、別のやり方があるのであって、決して庶民の善意をあてにするものではないと考えている。
 しかし、この本は今までのエコ活動と何か違う気がした。あきらかに啓蒙書(ECO入門書)である。何かをしようと押し付けがましいことは何もない。ただ、事実であろうことを写真とデータで解説してある。地球温暖化という言葉はよく聞くが、その原因は米国30.3%、ヨーロッパ27.7%、ロシア13.7%、東南アジア/インド/中国12.2%、日本が3.7%である。面積の大きいカナダが2.3%、オーストラリア/ニュージーランド1.1%となっており、圧倒的に米国の寄与率が高い。今後はインド/中国も悪化して行くであろうが、面積の狭い日本は3.7%と世界的にみると低い割合である。その低い数字のしかも人口の多い国の1人が何をしたって、野球場に豆電球くらいの効果しか期待できないではないか。あるいは全く効果はなく気休めでしかないかもしれない。多分に自己満足的な活動である。
 自分は地球温暖化対策を持っている。一人一人がどれだけ努力しようが、手の届かないほどの効果のある方法である。国、地方がそれをやれば、真剣さも伝わり精神的なエコ意欲向上にもつながると思う。簡単なことである。本当に危機的状況ならそれくらいのことをするだろうが、しないということはそれ程でもないのではと思っているのである。
 しかしながら、この本を読むとそうは言っていられないと真剣に考えさせられる。一度立ち読みでもいいので、見て下さい。「立ち読みでも」「見て下さい」というのは、この本の体裁が、一目で分かるような、文字の少ない写真の多い構成になっているからです。私に出来る10の事は、先日の「十戒」にもつながる、なかなかできないことであるが、自分は何か感じたのでこうやって、温暖化の情報は発信して行きたいと思う。でも、基本的には一人一人がやることではないし、できないことだと思う。一人一人やることは良いことだろうが、流れを作って、成果を挙げることの方が大事だと思う。目的を達さないと近い将来地球は滅びるのだから。(正確に言うと地球は滅びない、人間が住めなくなるだけ。)
 本のオビに書いてあった大橋マキさんの言葉が好きです。「未来の誰かを想って、今日、小さな行動を起こせる人。そんな人って、素敵だなと思います。」
 最後に、「私たちが住んでいる地球は、いま、存在の危機に直面しています。それをどうしたら止められるか、みんなで一緒に考えてみましょう。ひとりで見る夢はただの夢。一緒に見る夢は必ず現実になるのです。」――愛をこめてオノ・ヨーコ