「自己に素因のないものごとを、人は感じることはできない。」

素因というものは、その人が過去または現世において実際に体験した因縁である。
各自は過去においていろいろな素因を有し、未来において無限の素因を作ることができるのである。
そして過去の悪い因縁は漸次にこれを縮小し、改良し、廃棄し、絶滅し、よい因縁のみをますます拡大して、今後におけるわが人生の基礎となるように努力しなければならない。
この悪因縁の縮小、改良、廃棄ということは、自力だけではほとんどどうすることもできないものが多いので、いきおい他力にすがらなければならない。すなわち、人は他力によってでなくては救われないのである。と同時に、みずから自力を養うように努力しない人には進歩はないのである。