菅首相が、原発近くの被災地は10〜20年は戻ることはできない
というようなことを言ったとか言わなかったとかで、本人はきっぱり否定していた。
避難している住民は、この言を聞いて、「一国の総理が言うことではない」と怒っていた。
しかし、現実問題として、大多数の人は「帰れない」と思っているのではないだろうか。
「もう帰れない」という宣告は、がんの宣告にも値する。
人間は死の宣告をされたときに、否認・怒り・取引・抑うつ・受容という心理変化があるそうだ。
メーカーの廃炉処理の計画では、長ければ数十年は掛かるという。
だとすれば、現実問題として、10〜20年は帰れないというのは妥当なところである。
それに対して怒るということは、そうであることをおぼろげながら分かっているということだろう。
否認と怒りの心理状態である。
今後国は住民の心理も考慮しながら、情報告知しなければならない。
それでも、いずれは現実を受容せざるを得ない。
 
人は希望がなくては生きていけない。
今後の希望はどこにあるかといえば、
現実を直視して受け入れ、
「日本は強い国でも何でもないので、世界のみんなで助けてください」と
言えるようになったときにうっすら見えてくるのだと思う。

それにしても「事故対応は適切」という東電社長には呆れるしかない。
この国の希望はもう少し先になりそうである。