湊かなえの「告白」を読んで、そのイヤな気分になるミステリーを「イヤミス」と言うそうです。そして真梨幸子の「更年期少女」は、イタい気分になるミステリーで「イタミス」だそうで、こちらはまだ読んでいませんが、「イヤミス」は一年遅れで体験しました。確かにイヤーな気分になりますが、ところどころの嫌味にも似た、辛口の社会批判は、多くのみんなが思っている本音もあるのでしょう。小説って何でも書けるということを改めて認識させられました。
 今日、スーパーで勝手に外に出て行ってしまう子供を大声で怒鳴る若い母親がいました。これから、この子が成長して、この家庭がどのような未来を送るか?この躾のなっていないことが原因で、不幸に陥って家族が苦労に苦労するというのなら、ある意味スッとするのですが、「イヤミス」では、そんな子供が大手を振って回りに迷惑を掛けながら、最後まで幸せに自分勝手を謳歌するのでしょう。悪いことを悪いとも思わずにどんどん実行していくことで、世間的には大成功していく。そんなスッキリしないことばかりの世の中です。これを「閉塞感」という言葉一つで分かったような気になっていますが、そんな単純なことなのでしょうか。ツィッターなどが流行るのもそんなことの裏返しかも知れません。
 そんなことで、スカッとしたいということもあって、新聞の本の紹介にあったべた褒めの作品、三橋亜記の「コロヨシ!!」を買って来てしまいました。
 コロヨシ!!とは―
 この日本に伝わる競技「掃除」開始時の発声。語源は「頃良し」―自らを鼓舞し、見るものを挑発する、覚悟に満ちた言葉である。
(コロヨシ!!より)
 豊崎由美さんの書評では、来年の本屋大賞ノミネート確実、世界設定こそファンタジーだが、読み心地は正統派青春小説。掃除という架空のスポーツのルールをかっちり作り上げ、競技の描写も迫力満点。最後がとてもいい場面で終わっている点からみて、シリーズ化必死のこの小説は、アニメにしたら人気沸騰間違いなし。次に出るのがまちきれない、まさに娯楽小説の鑑のごとき作品、と絶賛。その結果、ここに一人読者が増えました。さぁ、今から読んで見ましょう。では、…。