布教のテーマは「後悔すること無かれ」「念仏の中に真理が開かれていく」「主体性を持って」「お釈迦様の仏教なのに何故阿弥陀仏がご本尊なの?」「問いをもって生活すことが大事」「念仏を申して」など多岐多彩で楽しく聞くことができました。
それらの中で気づいたことをちょっと記録しておこうかと思います。
後期高齢者」という言葉は悪者のように扱われ、「長寿」に挿げ替えられたりしていますが、法話で「後期高齢者にはなろうと思ってもなれない人もいるんだから」という言葉。確かにそうですね。すばらしい人生を得させて頂いたと、何事も決して悪く思わない、平等和合の精神を持って、ということでした。
しかし、転んでも「(骨を折らずに)ありがとう」、骨を折っても「(命が助かって)ありがとう」と感謝しましょうという主張は、ちょっと疑問もあります。条件と比較して、そんなに悪くなかったから「ありがとう」では、イソップ物語の狐が、取れないあのブドウはすっぱいだろうと諦めるのにも似て、あまりいい喩えとは言えないでしょう。後の問題(宿題)とも関係してくるのですが、良いことも悪いことも、そのまま受け入れられるかどうかだと思います。
心理学的な処世術で言えば、一昨日書いたプロゴルファーのように「ミスをしても笑いなさい」「ボギー打ったら笑いなさい。ダボ打ったら笑いなさい。」と言うこと、そして、愚痴を言わないこと、人の悪口、不平不満を言わないことが、人生を前向きに生きていける秘訣なのです。いつも「ありがとう」と思いなさい、はそのことの応用で、真宗の話とは違うと思います。前に書いたイスラエルのおばあさんの幸せになる魔法の言葉も「ありがとう」でした。そこから先、何かを考えて、付け加えることによって真宗の話にできるかもとも思いました。これらのことを踏まえて真宗の話にできるかどうか。そして真宗の教えを広めること。それが布教大会の意味ではないかと思いました。

六波羅蜜」の話は真宗ではあまりなされません。まさしく行だからです。しかし、「六波羅蜜」は仏教の大切な知識だと思います。ここに焦点を当てて何故六波羅蜜を行う必要が無いのかを説かれました。念仏を通してすべてが頂ける。弥陀に助けられまいらすべし、ということです。念仏の中に智慧の真理が開かれていくのです。(すばらしい!)

ある法話を聞いていて、700回忌の法要は昭和36年だったという話が出てきました。そうです、自分は1歳のときです。750回忌では51歳。二回の御遠忌に会える人は限られていると言うことです。そこで、再来年20歳代ならば、800回忌の時でも70歳代と、かなりの確率で2回経験できます。問題は20歳代の人がどれだけお参りするかです。今回70代以上の人に御遠忌2度目の人がどれくらいいるのかを調べてみると面白いでしょう。うちの娘たちは10代と20代なのでイヤと言っても無理やり連れて行こうと思ってしまいました。娘たちが70代で2回目の御遠忌を迎えるときに感動なり、思い出なり何かを未来に残せるような気がするからです。2061年に自分は娘たちの心に戻って来られます。(想像することは楽しい。)
本山も「一生に2度の御遠忌を経験しよう」で若い人に縁を持ってもらうのも良いアイデアではないかと思います。巷は歴女ブーム、あながち冗談ともいえないのでは。

演出するどく都々逸を紹介してくださった布教師さんは、全体で布教大会をイベントと見た場合に変化を入れるのに貴重な存在です。休憩が無くても、楽しめる法話ができれば、時間の節約にもなります。いろいろなアンテナを刺激してくださいました。変身後の写真を撮らなかったのは残念でした。


歎異抄を題材に使った法話もありました。第1章の言葉が30年ずっと引っかかっていた。それが、やっと少し分かりかけた気がしたとのことです。それくらい「問い」を持って生きていかないといけない。そこで宿題です。盲目の三味線奏者、高橋竹山さんのエピソードです。(この方のこと初めて知りました。)http://nakamoto.bunbukikaku.com/column84.html
  晩年の演奏会の最後に、次のように語ったそうである。

  「あの頃、誠に苦しい体験をしました…。
   叩かれ、蹴られ、石を投げられ、三味線を壊されました…。
   何も悪いことをしていない自分に、なぜそこまで…。
   辛かった、苦しかった、悲しかった…」
 
  「でも今、その人たちに申し上げたい…」
 
 
  「許してください」

  会場にいた誰もが、自分の耳を疑った。
  「許します」の間違いではないか?
 
  「許してください」
 
  この意外な言葉について、私はずっと考えてきたのだが、高橋名人の真意がつかめなかった。
どうして「許してください」だったのか?この宿題に一言感想をコメントしたい方は徳行寺様まで。

念仏の大行を忘れないでくださいと訴えた方も居られました。大事なことですよね。やっぱり布教大会はこうでなくっちゃ。
短くも大変充実した一日をありがとうございました。最後に高橋竹山さんの三味線で、http://www.youtube.com/watch?v=TXErH5SXqlg&feature=related