「犬と猫と人間と」http://www.inunekoningen.com/index.html
監督・飯田と一人のおばあさんの出会いから映画は始まる。
その女性、稲葉恵子さんは、今まで多くの捨て猫を世話してきたが、
自分の年齢のことを考え、飯田にこう持ちかけた。
「大人も子供も、動物を大切に思ってもらえるような映画を作ってほしい」
「なぜそんなに猫のことを?」と問われた稲葉さんは、
「人間も好きだけれど…、動物のほうがましみたい」と答えた。

「ペット大国」日本の現状を調べると、必ずしも動物にとって恵まれた状態ではないことがわかってくる。ペットを家族の一員とする人々も多い反面、営利優先のペットショップは多く、無責任な飼い方や不法投棄も後を絶たない。結果として、日本全国で1日当たり1000匹近くの犬猫が処分されている。どうしてこうなるのか、何とかならないのか?その思いが、飯田を動かし始める。

最初の取材対象は、行政施設の犬猫処分の現状。引き取られた犬猫の大半は炭酸ガスで処分される。それでも、犬猫を持ち込む人間はひっきりなしにやって来る。柵の中には、とても人懐っこい犬や、目も開かぬような仔猫もいた。実際に目の当たりにすると、少なからずショックを覚える。
そこから民間の活動に目を移し、さらに動物愛護の世界に踏み込んでいくと、そこには様々な出会いがあった。神奈川県動物愛護協会で保護されている、個性豊かな犬猫たち。人間の都合で猫たちの生殖を奪うことにジレンマを抱えながらも、野良猫の避妊去勢手術を続ける獣医たち。多摩川沿いの野良猫たちを長年写真に収め、世話を続ける夫婦。かつて「犬捨て山」と騒がれた場所に、今でも住み込んで犬の世話を続ける年配の男性と、彼を助ける学生グループ。お年玉をつぎ込んで、捨てられた子犬の世話をする小学生たち。
さらに飯田は、動物愛護先進国・イギリスや、戦時下日本の動物愛護事情にまで目を向ける。

小さい命の切なさと、不幸な命を生み出す人間のエゴを浮き彫りにしつつも、カメラは、多くの犬猫たちと、それを懸命に救おうとする人間たちの姿を映し続ける―。(オフィシャルサイトのストーリーより引用)

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こういう問題に触れると本当に解決できるのだろうかといや〜な気分になる。絶対に終わることのない問題、誰かが1匹引き取ったところで焼け石に水の話である(自分はアパートなので飼う事もできない)。のめりこめば、自分が良いことをしているのに、みんなは分かってくれないとか、犬猫を人間の都合で絶対殺すな!とかいう正義感のようなものと勘違いする人もでてくるだろう。こんな時に「歎異抄」の言葉は深く語りかけてくる。「聖道の慈悲というは、ものをあわれみ、かなしみ、はぐくむなり。しかれども、おもうがごとく助けとぐること、きわめてありがたし。」「今生に、いかに、いとおし不憫とおもうとも、存知のごとく助けがたければ、この慈悲始終なし。」