太藤さんのところで「ナラティブ・セラピー」なる言葉に出会いました。
 ‘narrative’とは、(事実に基づく)物語、話〈語りの行為より物語の内容に重点がある〉だそうです。調べて見るとかなりたくさん出てきます。
http://www.a-h-c.jp/semi_narrative.html
http://homepage1.nifty.com/shigeki-suwa/narrative/index.html
 『ナラティブは、もともと医療の世界で注目されるようになった言葉です。医師が患者と接するに当たり、患者が受診に至った気持ちや期待のストーリーを意識して接することで信頼感を高められるという考え方「ナラティブ・ベイスト・メディスン」(narrative based medicine)が1998年に注目されました。』

 『言葉と現実は、どのような関係にあるのでしょうか。おそらく現実から言葉が生まれると、多くの人は考えることでしょう。確かに、新しい星が発見されて、その発見者の名前にちなんで星の名前が決まるというように、現実から言葉が生まれることもあります。
 しかし、それとは逆に、言葉から現実が生まれることも、実際にはあるのです。
 例えば、誰からも「キレイだ」と言われたことのない人が、自分のことをキレイだと思うでしょうか。周りから何度も「あなたはキレイだ」と言われた人が、自分のことをキレイだと思うのでしょう。
 また、たとえ身体のガンが進行していたとしても、病名を告知させていない人に、ガン患者としての現実はありません。「あなたの病気はガンです」と宣告されて初めて、ガン患者としての生活が始まるのです。
 このように、言葉が現実を創り出すという側面に、ナラティブ・アプローチは注目します。言葉や語り方を変えることで、新たな現実を創り出そうとするのです。』

 言葉や語り方を変えることで、新たな現実を創り出そうとするということは、真宗の教えに通じているのではないでしょうか。また、思ったときにそのようになるということは、幸不幸の感じ方のところでずっと書いてきました。人間、幸せと思っているとき幸せである。哲学では基本となるこの考え方が、「ナラティブ・セラピー」という理論で実践されていました。真宗もちょっとは役に立つことを考えて見てはどうでしょうか。

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 たまたまなんですが、ガン患者が、「感謝と喜び」を持つと寿命が長くなる。そんな仮定が思いついた。というのも余命が延びているガン患者の話を聞くと「わくわくすること」を持っていて、周りの人に感謝しているという人が多いことが分かったからです。といっても3人のガン患者なんですが。
 そこで考えて見ると、法然上人、親鸞聖人、蓮如上人それぞれ80歳、90歳、85歳と長寿である。このかたがたは浄土教の教えに導かれて、弥陀の本願をありがたく頂いた方々です。そこには歓喜と報恩感謝がみなぎっていたと言えるでしょう。そんな時生きるためのホルモンの分泌は最高潮だったのではないでしょうか。
 三河真宗寺院をお参りすると、高齢のおじいさん、おばあさんばっかりが法話聴聞しています。そこで気づいたのですが、真宗の教えは、長生きに効く。これは仮説ですが、まんざら嘘ではないような気がします。なぜなら、毎日が楽しく、感謝の思いで生活できているから、ストレスが少ないと思われるためです。
 「真宗門徒の寿命は平均して長い」という結論が出たら面白いなぁなどと思っています。世の学者先生で、この課題に挑戦してくださる方はいませんでしょうか。