[尊号真像銘文]
「其仏本願力」というは、弥陀の本願力ともうすなり。「聞名欲往生」というは、聞というは、如来のちかいの御なを信ずともうすなり。欲往生というは、安楽浄刹にうまれんとおもえとなり。「皆悉到彼国」というは、御ちかいのみなを信じてうまれんとおもう人はみなもれず、かの浄土にいたるともうす御ことなり。「自致不退転」というは、自は、おのずからという。おのずからというは、衆生のはからいにあらず、しからしめて不退のくらいにいたらしむとなり。自然ということばなり。致というは、いたるという、むねとすという。如来の本願のみなを信ずる人は、自然に不退のくらいにいたらしむるをむねとすべしとおもえとなり。不退というは、仏にかならずなるべきみとさだまるくらいなり。これすなわち正定聚のくらいにいたるをむねとすべしと、ときたまえる御のりなり。